2007年。奄美諸島の徳之島という離島にて、コーヒー栽培をはじめました。
途中、台風被害により、それまで育てていたコーヒーの木が全滅するという憂き目にも遭いました。でも、目の前の自然にとことん対峙し、できるだけ地球と動物に優しいコーヒーづくりを目指して歩んできました。そして今、ようやく2500本のコーヒーの木とともに暮らせております。
アフリカの原生林をヒントに森を再生しながらコーヒーを栽培する「セミフォレスト農法」。鶏や果樹とともに生物の多様性を重視しながらコーヒーを育てたり、海底火山噴火によって漂流した軽石を土壌改良に活用したり。リジェネラティブな農業にたどり着いていたのは、目の前の森、空気、海、土、樹の声に応えてきたからみえてきたから。
また、「コーヒーエコヴィレッジ」として、ファームステイや里親通信、インターンといった形で、コーヒー栽培を学びたい、コーヒーのオーナーになりたい方をいつでも受け入れてきました。
当初から目指したのは「6次産業化」。「コーヒーの木いっぽんまるごと」をテーマに『coffee tree apartment』というブランドを立ち上げ、お客さんに直接宮出珈琲園の商品をお届けすることにこだわっています。2023年からは新たに奄美群島をコーヒーの産地にする為10万本の栽培プロジェクトを立ち上げました。
農園主・宮出博史より
みなさん、こんにちは。この場をお借りして、宮出珈琲園がどのような思いでコーヒーを栽培しているかを少し紹介させていただきます。
巷のコーヒーショップで、この数年よくお見かけする「生産者の思いを伝えたい」という文字を見るたびに湧いてくる疑問がありました。 本当につたえられてるのかな?生産者の生の声を聞き、自身も生産者である私にしかできない事はないだろうか?
生産者は「コーヒー豆」のみを作っているのではありません。「コーヒーの木」を育てているのです。 しかし商品として流通しているのは種子(コーヒー豆)だけ。 可食部分の最たるものであるはずの果実でさえ、捨てられているのが現状です。
私はこの11年、生産者&ロースターとして、豆だけでなく、花、果実、葉っぱなど、コーヒーの今まで捨てられていた部分の飲み方を研究してきました。そしてついに、「コーヒーの木」いっぽんまるごとを美味しく味わう調製方法、焙煎方法、発酵方法にたどり着くことができたのです。
徳之島の宮出珈琲園は、世界のコーヒー生産者の実験圃場でありたいと思っています。 世界のコーヒー生産の多くは、植民地のプランテーションで発達したという歴史的事情があり、貧しく虐げられてきたという側面があります。 小規模な生産農家は、努力をして良質なコーヒーを作っても、スペシャルティコーヒーとして認められることはとても難しく、市場の動向に振り回されてしまうため、安定した生産量と品質を確保できず、仲買人などに不当に安値で買い叩かれてしまうこともあります。
「コーヒーの木一本丸ごと」の楽しさ・美味しさを消費者へお届けすることはもちろんです。 そのためにも、生産者の出荷アイテムを増やし、収入を上げ、雇用機会を増やすことにつながるように、今まで捨てられていたものに価値を見出し、それを新しい商品にしていく 徳之島の新しい取り組みを通して、海外の生産者にもコーヒーの持つ新たな可能性、ノウハウをフィードバックしたいと思っています。 皆様にもコーヒーの木まるごと一本の美味しさをを是非五感以上で感じて頂ければ幸いです。
<展開ブランド>
『coffee tree apartment』
「コーヒーの木を一本まるごと」をテーマにしたブランドです。コーヒー豆はもちろんのこと、コーヒーの副産物(花、葉っぱ、果実部分など)のお茶や栽培体験などを商品ラインナップとしています。
*Instagram* http://instagram.com/miyade_coffee/